講師
国立研究開発法人 国立がん研究センター東病院
機器開発推進室主任研究員
冨岡 穣
2021年11月のメドテックサロンでは、講師として国立研究開発法人 国立がんセンター東病院で機器開発推進室主任研究員をされている冨岡穣さんをお招きして、オンラインにて講演を開催いたしました。
講義は「PMDA相談での資料作成方法」というテーマについて、「相談の種類と性質」「相談事項の決め方」「相談資料の構成」の流れでお話をいただきました。
冒頭では、PMDAとのやり取りにおいて気を付けるべき前提として、PMDAとはどういう人たちかをしっかり理解することや、同じ目線や尊敬の念をもってお互いに気持ちよく仕事ができるようにすることが大切であると教えていただきました。
続いて、相談の種類と性質について解説いただきました。従来の相談では医療機器の製造販売業者や医師など、薬事についてしっかり理解されている方を相談対象にしているのに対し、RS戦略相談ではアカデミアやスタートアップといった、あまり薬事について詳しくない方を対象にしています。そのため、アカデミアやスタートアップの方でも、薬事について深い見識があるのであれば、RS相談ではなく通常相談をしても良いそうです。また、どちらの相談においても無料と有料があること、相談内容、メリットとデメリットについてもご紹介いただきました。
RS戦略相談のメリットは、国の補助が受けられることです。条件を満たせば、100万円近くする通常相談が10万円未満で受けられることがあります。対して通常相談のメリットは、最初から医療機器審査部の人が対応してくれること、随時申し込みを受け付けていることを教えていただき、とても勉強になりました。
後半では、最初に相談する際に説明するべき情報について教えていただきました。最初にPMDAと会話をすると、どの相談区分に申し込むべきかを教えてもらえます。しかし、開発品目に対する考え方や使用場面、何を聞きたくてどういう回答が欲しいのかを明確にしておかないと、話がスムーズに進まなくなります。そのため相談前には、開発背景、提供する技術、使用場面、臨床的位置付けという4つのポイントをしっかりと抑えておくことが大切です。
相談資料と相談区分に関しては、PMDAのホームページに詳しく紹介されています。各種相談区分のうち医療機器開発前相談は科学的評価が完了していなくても受けることができ、どのような試験が必要か、治験が必要になるかなどを教えてもらえます。ただし、要求事項に関しての具体的な試験方法の提示は行ってはいないので注意が必要です。また資料の充足性やプロトコルの妥当性に関して、個々に判断を示すものではなく、最終的な判断は相談者自身が行うことになります。そのため、相談者自身の考え方を明確に示し、気になる点はしっかりと論点として挙げ、相談内容に対してPMDAの考え方を示してもらうことが大切です。
また相談の際には「評価してください」という言葉には気を付けたほうが良いと教えていただきました。この言葉を聞くと試験で評価しなければならないと捉えがちです。しかし、PMDAの「評価してください」という言葉は、論文などから説明できる内容でも評価になります。そういったところも踏まえて評価をすることが大切であるという、貴重な情報をいただきました。
最後に設けた質問コーナーでは「プロトコルへの相談」「コンセプトの変更」「認証区分の相談」「相談区分の切り替え」「相談へのハードル」といった質問に対して、分かりやすく回答、アドバイスをいただきました。
冨岡先生、ご講演ありがとうございました。