講師

経済産業省 商務・サービスグループ
ヘルスケア産業課 医療・福祉機器産業室
佐藤 壮馬

2021年12月のメドテックサロンでは、講師として経済産業省 商務・サービスグループ
ヘルスケア産業課 医療・福祉機器産業室 佐藤 壮馬様から「医療機器開発の方向性について」というテーマでご講演いただきました。

冒頭では、医療・福祉機器産業室のミッション、医療機器産業の状況、さらに医療機器基本計画と見直しについて教えていただきました。医療機器基本計画については、2020年度までの状況を踏まえた見直しを図るために現在タスクフォースを設置し、年度末に向けて引き続き議論を関係省庁で行っているそうです。

続いて紹介いただいたのは、AMEDの医療機器ヘルスケアプロジェクトの中で、医療・福祉機器産業室が携わっている事業についてです。そのうちの一つである「医工連携イノベーション推進事業」では、「中小・ベンチャー企業の開発事業化支援」「医療機器開発支援ネットワークの充実」「地域連携拠点の整備」という3つの支援を行っています。

「中小・ベンチャー企業の開発事業化支援」については、補助金の説明がなされました。中小企業を対象とした開発・事業化支援の場合、1課題あたり年間上限5,200万円~1.5億円(各種条件あり)。ベンチャー企業を対象とした開発・事業化支援の場合は、1課題あたり年間上限2,600万円の経費を補助しています。(いずれも令和3年度公募時)

実際の支援事例として「経編技術を用いた心臓修復パッチの開発」と「世界初のマイクロ波マンモグラフィの開発と事業化」を紹介いただきました。さらに「アルコール依存症治療用アプリの開発」「糖尿病の個別化栄養治療を支援する新医療機器プログラム」といった医療機器プログラムの開発案件も採択されているようです。

次に「医療機器開発支援ネットワークの充実」についてお話がありました。AMEDを事務局として、全国79の地域支援機関にワンストップ窓口を設置、そこで解決できなかった課題に関しては、専門家による助言が無料で受けられます。専門家へ寄せられた相談内容は「規制対応について」が31%と最も多く、続いて「販路開拓」が25%となっています。ほかにも技術開発や市場動向など、多岐にわたる相談が寄せられているそうです。

また企業規模に関しては、中小企業が44%で最も多く、次いで大企業が27%となっています。さらにはベンチャー企業や大学、支援機関などからも相談が寄せられていることを教えていただきました。

「地域連携拠点の整備」については、地域の特色を生かした事業拠点の自立化・持続化を推進する支援を実行しています。事業拠点による活動は「事業家人材や専門分野支援人材によるコンサルタント」「プロトタイプ制作支援」「マッチング支援」などを想定しております。今年度は全国で5拠点が採択されており、採択拠点を核とした幅広い支援を実施しています。

他の開発支援としては「医療機器等における先進的研究開発・開発体制強靭化事業」についてもお話がありました。5つのプロジェクトのうち「基盤技術開発プロジェクト」では、将来の医療機器等の開発を見据えた要素技術や基盤機器の開発に対して支援が行われています。

また別のプロジェクトでは、医療機器の承認審査に向けて、評価項目(安全性、有効性、品質、強度等)や実験条件などを詳細に提示している開発ガイドラインを策定しています。

その他の支援策として、医療機器プログラムの推進に向けた取組みについて紹介しました。まずは重要な要素となる、医療機器プログラムが医療機器に該当するか否かという「該当性の考え方」について説明いただきました。

該当性の考え方については厚労省がガイドラインで示しておりますが、医療・福祉機器産業室でも『ガイドブック』の作成や、セミナーなども開催しており、さらに相談窓口も設置するなど、機器開発における障壁を取り除くために様々な支援策を行っています。

最後に「ふくしま医療機器開発支援センター」では、生物学的安全性試験および電気・物理・化学的安全性試験を行えることを説明いただきました。

講演後の質問コーナーでは、「厚労省と経産省の医療機器開発に対する住み分け」「経産省以外の機器開発支援状況」「プログラム医療機器へのアプローチ」など、たくさんの質問が寄せられ、真摯に分かりやすく回答いただきました。

佐藤様、ご講演ありがとうございました。