ベンチャーキャピタルによる事業性評価

講師

大下 創

MedVenture Partners株式会社 代表取締役

大下 創

講義の目的

投資家から見た医療機器の事業性評価の視点を理解する。

講義の内容

最初に医療機器産業とエコシステムについて解説があり、日本の医療機器市場の構造や市場規模、世界の大手医療機器メーカーの製品戦略について語られました。海外大手企業は自社開発はほとんど行っておらず新製品のほとんどはベンチャーが開発した製品であることや、リスクの高い製品の開発はベンチャーが行い、安全性・有効性がある程度証明された段階で買収するといった潮流であることが話されました。

また、医療機器インキュベーションファンドの機能や、ベンチャーが大手企業に買収された後の流れについても触れられ、ベンチャーを中心としたエコシステムは、VC(ベンチャーキャピタル)・ベンチャー企業・大手医療機器メーカーがお互いにステークホルダーとして存在し、医療機器産業のエコシステムが成立しているという話がありました。

続いて、ベンチャーと中小企業の違いが明確にされ、医療機器は適切なニーズと十分な市場が存在しなければビジネスにはならないこと、特にベンチャーでは100億円以上の巨大な事業市場が必要となることが語られました。そのため、将来の企業価値から逆算した資金調達ステップといった事業計画の考え方が重要になるといいます。そこで、企業価値の考え方や、開発初期に判断すべきことが成功事例を交えて紹介されました。

その後、VCの仕組みについて解説がありました。VCはどういった立場から出資をしているか、投資の流れ、リターンの構造などが語られ、投資家や医療機器の専門家によるスクリーニングの重要性をあらためて確認しました。

さらに、VCのポートフォリオイメージや投資方針、投資対象領域や領域別の投資割合にも触れ、今後より多くの国内医療機器ベンチャーが育つ環境を醸成するには、日本から医療機器ベンチャーの成功モデルを生み出すことが大切だと述べられました。