講師
国立研究開発法人国立がん研究センター東病院 医療機器開発支援室長 冨岡 穣氏
2024年1月のメドテックサロンでは、講師として国立研究開発法人国立がん研究センター東病院の医療機器開発支援室長である冨岡穣さんをお招きして、オンラインにて講演を開催いたしました。
講義テーマは「How to 薬事相談~PMDAとの相談の進め方~」についてです。
講義の流れとしては「相談の種類と性質」から始まり、「相談事項の決め方」、「相談資料の構成」の順にお話いただき、その中でPMDAとの交渉の中での注意点などにも触れていきました。
まずは「相談の種類と性質」です。
どの相談でPMDAに申し込めばいいのかを悩まれる方は多いですが、その前に、それはPMDAに相談を持っていく内容なのかどうかを考えなければいけません。
届出品・認証品についてもPMDAの所掌から外れているので相談の対象ではありません。
ただ、届出品でも明らかに一般的名称がないパターンがあるので、そういう場合はPMDAや厚生労働省に相談をして一般的名称をつくっていただかなければなりませんし、相談が発生します。
PMDAとのやり取りにおいて気を付けるべき前提について挙げていただきました。
- 医療機器の評価がどうあるべきかを考えている医療機器審査のプロフェッショナル
- PMDAも人間なのでお互いに気持ちよく仕事ができるよう、尊敬の念をもって接する
- PMDAの職員はそれぞれの専門領域を持っているものの必ずしも全ての疾患に詳しい人ではない
- 開発品目について最も理解しているのは相談者であって、PMDAはそこから最も遠くにいる人かもしれない
- PMDAの言っていることが理解できなければ臆せず質問をして説明をしてもらう
次に「相談事項の決め方」についてお話いただきました。
全般相談やRS戦略相談の事前面談というのは、PMDAに対して会話を始めるときに使用するものです。申し込みは無料で比較的簡単にできるので、まずはここから始めましょう。
そして、相談の中で「何に困っているのか」「何を聞きたいのか」について話していくと、「この相談区分ですかね」とPMDA側から教えてくれることがあります。
こちら側で相談区分を決める場合の方法については、PMDAのホームページの「相談区分」をクリックすると「医療機器相談一覧」が出るので、その中から自分が受けたい相談を探していきます。詳しい内容はそこに記載されているので確認してみると良いでしょう。
医療機器開発前相談で相談される内容の多くは、以下の三点です。
- 評価方針の適切性(評価パッケージの充足性)
- 治験の要否
- 開発方針の妥当性
医療機器プロトコル相談で相談される内容は、以下の二点です。
- 非臨床試験のプロトコルは適切か
- 治験のプロトコルは適切か
留意点としてどちらにも共通することは、相談者としての考え方をはっきりと示すこと、特にプロトコル相談では、単純にプロトコルが適切か?という問いではなく、特に気にしているポイント(症例数や評価項目など)については、相談事項として取り上げ、PMDAと議論して考え方を理解することです。
最後に「相談資料の構成」についてお話いただきました。
医療機器開発前相談資料に盛り込むべき内容は、開発背景・提供する技術・使用する対象や場面・臨床的位置づけ・相談事項です。
医療機器プロトコル相談で相談資料に盛り込むべき内容は、開発背景・提供する技術・使用する対象や場面・臨床的位置づけ・相談事項・試験実施計画書・治験機器概要書・同意説明文書です。医療機器プロトコル相談の場合は、治験機器概要書と同意説明文書をつけた方がベターであるとのことでした。
講演の最後には、「資料を作る際のサンプルは得られるのでしょうか」「相談する相手によって言っていることが変わって、『前回はこうだったのに今回はこうだった』のようなことは起こりうるのでしょうか」といった質問や、実際にいくらかかるのかといった費用の相談などが寄せられました。
冨岡さん、本当にありがとうございました。