特許実務の基礎と医療機器開発における特許戦略

講師

久野 栄造

八田国際特許業務法人 パートナー

久野 栄造

講義の目的

特許制度、および医療機器開発における特許の重要性を理解する。

講義の内容

はじめに弁理士の業務について説明があり、経営ビジョンにおける知財戦略の位置づけや、医療機器分野の特許戦略に関する解説が具体例を交えて行われました。また、市場形成と標準化のために特許を開放するオープン/クローズ戦略や特許網構築例に触れ、知財戦略の考え方についても言及されました。

続いて、特許制度の概要の説明がありました。特許取得のメリットや、特許侵害の判断方法について解説があり、特許権は実施権ではなく排他権であるという特許権の性質、特許網を構築する際の出願戦略の基礎など、特許制度の概要が述べられました。

特許権の取得についての解説では、特許性調査や新規参入調査、FTO調査(Freedom to Operate)といった各種特許調査の説明の後、特許取得までの流れが示され、日本を含め多くの国では先願主義を採用していることや、特許権は出願後20年経過すると消滅することなどが語られました。また、具体的な審査方法や審査例が挙げられ、権利化までのプロセスや知っておきたい制度、PCT出願(国際特許出願)制度ついて説明がありました。

最後に医療機器の出願戦略として、どのような手法があるか米国企業を例に説明がありました。米国では手技の発明についても特許が取得可能で、米国で手技特許を取得するメリットや、米国企業の手技特許例が示されました。

知財戦略は医療従事者を中心に、事業戦略、研究開発戦略、知財戦略が「四位一体」となって進めることが理想。知財戦略の基本や特許権の性質について理解することや、事業戦略と一体となった知財戦略の重要性にあらためて触れました。