講師

開発サポート 澁澤 喜人氏

2024年4月のメドテックサロンでは、開発サポートの澁澤喜人によるオンライン講演を開催いたしました。

講義テーマは「販売側から見た医療機器開発の在り方」です。
「プロモーション」「製品の流通」「製品の納品、在庫化」「製品の使用、定着化、横展開」という流れでお話をさせていただきました。

最初に、これまで澁澤が行ってきた営業活動についてご紹介させていただきました。
当時取り扱っていた外科手術用医療機器や業務内容について解説した後、営業の人員配置に関する考え方についても解説を行いました。

次に、実際の外科手術の保険点数の成り立ちについてです。手術に対して保険点数が決まっていることは先生方もご存知かと思いますが、実際の手術内容とそれに対する具体的な数字についてご紹介しました。

特定医療機器加算という枠では、特定の医療機器を使用することで点数を加算できるため、それに合わせた営業活動を行っていることもお話しました。また、講義内では、症例別に病院側が得ている実際の収益について具体的な数字を用いて解説しています。

その後は、医療機器の流通の大まかな流れについての解説です。その中では、医療機器の流通における禁止事項についてもご紹介しました。医療機器販売業を持つ人たちは直接病院に納品ができない仕組みがあり、それについては法律で定められています。基本的には、販売業をもった代理店を通して病院に納品しなければいけません。また、病院自体も取引口座をあまり増やしたくないという考えから、大きな病院であっても医療機器に関しては地場の代理店を通して納品をして請求書を一本にしています。

医療機器販売にはメーカーだけではなく、間にこういった商流が絡んでいるため、それだけ利益をとる人たちがいるということになります。つまり、先生方が価格設定したものよりも、実際に販売される金額というのは、かなり高くなるということも考慮した上で価格設定していただきたいということをお伝えしました。

最後に、医療機器営業の仕事についてです。営業という仕事は、流通から消費、アフターフォローに至るまでと広範囲にわたります。ここでは、販売をする上でかかってくる実際のコストについてご紹介し、具体的にはどういったプロモーションが行われているかについても順を追って解説いたしました。

開発の一種のジレンマとして「確実に売れるものでなければ世の中には浸透しない」という思考になりがちですが、決してハイスペックな商品だけが売れるというものではありません。たしかに、特許の面などでいろいろな武器を持つものというのは医師のニーズを満たしやすい面がありますが、武器が備わっていなくともきちんとした訴求ができればものは売れます。

営業という仕事は、ものを売るだけではなくて先生方のニーズを聞いて、それにフィットした提案をするという役割を持っているので、完璧な商品である必要はありません。そういった意識を持った上で医療機器販売業の方々とコミュニケーションしながら、どのタイミングで製品化するのかということを意識していただきたいということをお話させていただきました。

最後に、参加いただいた方々からは、「医療機器販売の時に代理店を通さないといけないというのは、クラス関係なく全ての医療機器に該当することなのでしょうか?」といった質問や、「薬価改定によって点数が下がり利益率が下がるなか、みなさんはどこを削っているのでしょうか?」、「製造会社が医療機器を作ってメーカーに入れた場合と、自社で入れた場合のコストには違いがあるのでしょうか?」といったコストに関する質問をいただきました。