ケースメソッドとは、特定の学習目標を達成するために意図的に構成された教材を用いて学習者同士の討議を繰り返すことで、実践力を身につける教育手法です。今回は2つのシナリオをもとに、非常に白熱した議論が繰り広げられました。また、ケースメソッドの合間には朝日サージカルロボティクス株式会社 代表取締役社長・安藤岳洋氏による講演も行われました。

(1)ケースメソッド①

講師

桐山 皓行氏

東京大学医学部附属病院バイオデザイン部門 特任助教
スタンフォード大学バイオデザイン グローバルファカルティ

ケースメソッド①では、「歯科材料メーカーの歯周病診断装置の失敗例」というシナリオを元に議論がすすめられました。「現場のニーズを確認しないまま開発が進んでしまった理由」「問題を回避する方法」「今後のアクション」をポイントに熱い議論が繰り広げられます。本ケースを通して、導入コンセプトを明確にすること、競合製品・サービスとの差別化を図ること、明確にしたコンセプトを机上のみで判断するのではなく医療現場にニーズを確認すること、販売を視野に入れたチーム体制を初期段階で組んでおくことの重要について学びました。

(2)講演:「あるベンチャーの事例」

講師

安藤岳洋氏

朝日サージカルロボティクス株式会社 代表取締役社長

エンジニアである安藤氏に、起業からM&Aまでの経験談をお話いただきました。医療機器を作ろうと思ったきかっけや起業を決意した理由、ベンチャー設立時の実際の流れや苦悩、エグジットとして変化したことなど、具体的なエピソードも交えながら赤裸々に語られました。参加者からは「先輩起業家のリアルな声が聞けて嬉しかった」というコメントが聞かれました。

(3)ケースメソッド②

講師

杉本 宗優氏

東京大学医学部附属病院バイオデザイン部門 特任助教

ケースメソッド②では、「自動車メーカーの2型糖尿病検査装置の失敗例」というシナリオを元に議論がすすめられました。本シナリオでは、参加者の方々が「会社の取締役になる」ことが前提条件とされました。その上で「事業提携すべきパートナー企業」と「事業提携先を決定する上で、課題回避できたか」をポイントに熱い議論が繰り広げられます。本ケースを通して、医療機器業界における自社のポジショニングの明確化が必要なこと、各パートナー企業の事業特性について整理が必要なこと、事業コンセプトを明確化し自社とのシナジー効果を高めること、競争優位を発揮できるパートナー企業を選定することの重要性を学びました。

(4)まとめ

最後に、前田氏よりケースメソッドの総括として「知的財産戦略」「研究開発戦略」「臨床戦略」「承認戦略」「品質マネジメント」「保険償還戦略」「マーケティング・ステークホルダー戦略」「販売戦略」「競合優位性とビジネス戦略」の9つの事業戦略が確認されました。

前田氏が実際に経験した過去の苦い経験の共有や今後の活動に向けた熱いメッセージが送られ、3日間のブートキャンプが締めくくられました。