講師
日本バイオデザイン学会顧問
中尾 浩治
2016年テルモ株式会社の代表取締役会長、
日本医療機器産業連合会の会長を退任
現在は日本バイオデザイン学会の顧問(ファウンダー)、医療機器関係の会社やベンチャーの社外取締役、アドバイザーおよびAMED関係の業務に携わる
講義の内容
2021年1月27日(水)日本バイオデザイン学会顧問 中尾浩司先生の講演会をオンラインにて開催致しました。
中尾先生は2016年までテルモ株式会社の代表取締役会長、日本医療機器産業連合会の会長を務められました。
今回の講演では、中尾先生のご経験をもとに、企業経営者の観点でR&Dに何を期待しているかについてお話いただきました。
冒頭では、中尾先生が関わった開発についてお話がありました。極細の痛みの少ない注射針「ナノパス」に使われている深絞り技術の開発と、事業化につなげるまでの経緯を解説していただきました。さらに、カテーテル治療に使われるガイドワイヤーに水の貯まる親水性ポリマーを採用し、米国で販売されていたエピソードもご紹介いただきました。
テルモ時代の社内イノベーションの難しさについて、イノベーションはトップダウンではできない、決められた方法は存在しないことを教えていただきました。そのうえで、集まった人間のパッションとノウハウが組み合わさり、偶然によって発生することもお話しいただきました。また、そこに導くためのサポートについてのご説明や、優秀な人材を集めるためのグローバル化とM&Aの重要性もご教示いただき、大変勉強になりました。
最後の質問応答では、活発の意見交換が交わされました。特に、医療機器事業者にとって、困ったことを気軽に相談できるネットワーク作りの重要性をお話しされました。リサーチだけではなく、人のネットワークによって解決すること、そして最も基本的な解決方法である「人に聞く」ことの大切さを改めて教えていただき、貴重な学びになりました。
講義のあとには「分からないことがあれば、いつでも質問してください」と、メールアドレスを共有してくださり、ネットワークが広がるとともに、心強さを感じました。
中尾先生、ご講演ありがとうございました。