講師
株式会社MICIN
桐山 瑶子
国立国際医療研究センター病院救命救急センターにて医師として従事
医薬品医療機器総合機構(PMDA)にて、医療機器の審査・開発支援
平成29~30年度 厚生労働省 次世代医療機器・再生医療等製品評価指標作成事業 人工知能分野WG委員
令和2年度 厚生労働省医療産業海外実態調査事業における検討会 委員
現在は株式会社MICINにて、デジタルヘルスに関連する医療機器開発、オンライン診療システムの開発に携わる
講義の内容
2020年11月25日(水)開催のメドテックサロンに、桐山瑶子先生がゲストスピーカーとしてご参加くださいました。今回の講演では、質疑応答を含めながらデジタルヘルスの医療機器開発についてお話いただきました。
冒頭では、桐山先生から株式会社MICINのご紹介をしていただき、「デジタルヘルスとは?」、「人工知能(AI)と医療の歴史と規制の動向」、「医療AI、アプリが診断・治療で使用される世界」という流れで講演をしていただきました。
株式会社MICINは、「すべての人が、納得して生きて、最期を迎えられる世界を」をビジョンとしている創業5年の企業で、ヘルスケア領域の事業を多角的に進めていらっしゃいます。社内にはヘルスケア業界出身者、エンジニアなどの技術者の方が多く在籍し、自社内で開発が完結するような体制をとっているとのことでした。具体的な事業内容としては、「オンライン診療・服薬指導等の医療機関・薬局向けアプリケーション事業」、「医療データをAIなどで解析・活用するデータソリューション事業」、「医薬品の臨床開発向けデジタルソリューション事業」の3つがあるそうです。現在展開されているアプリについても具体的にご紹介いただき、今特にコロナで注目度の上がっている内容ということもあり、大変興味深く聞かせていただきました。
医薬品と医療機器の開発プロセスの違いについてご説明をいただいた上で、なぜプロセスにこれほど違いがあるのかという分析や、桐山先生がお考えの医療機器開発のハードルについても解説していただきました。デジタルヘルスでは、2008年ごろからスマートフォンが医療の場で活躍するシーンが増え、2010年前後からはソフトウェア単体でも医療機器になるのではないかという議論が始まり、現在ではアプリが医療機器となるケースやAIを活用するケースが出てきているそうです。最新情報をご教示いただき、大変勉強になりました。
そのあと行われた質問コーナーでは、「ディープラーニングを使った医療機器の開発について」や「AIは特にどのような場面で使われることが増えてきているのか」、「医療機器のカスタマイズ性はどれくらいあるのか」などの質問があり、具体的にお答えいただきました。
後半の「人工知能(AI)と医療の歴史と規制の動向」については、AIの定義からお話いただきました。AIの発展の歴史やディープラーニングについて、実際に医療の現場でどのようにAIを活用していくのかなど、具体的にご教示いただきました。現在は「問診AI」、「音声認識AI」、「画像診断AI」、「手術ロボット」などさまざまなものが出てきているそうです。厚生労働省をはじめとした国の最新のルールや規制についても、問題点を挙げながら具体的に解説いただき、とても貴重な学びになりました。
最後に、「医療AI、アプリが診断・治療で使用される世界」では、これまでに国内外で承認された製品の一部をご紹介いただきました。その中でも、「apple watch ECG」や国内初のデジタル療法デバイスである「禁煙治療補助システム」について、詳しくお話しされました。海外ではアプリ単体の医療機器がどんどん出てきており、国内でもアプリとしての医療機器の開発が進んでいるとのことでした。
講義の最後にも多くの質問にご回答いただきました。講義当日の最新の情報まで組み込まれた内容で、積極的に質疑応答もいただき、とても有意義な講演会でした。
桐山先生、ご講演ありがとうございました。