講師
長谷川 文也
合同会社 長谷川文也技術士事務所 代表
講義の目的
医療機器の設計プロセスや、医療機器の品質マネジメントについて理解を深める。
講義の内容
冒頭では、産業化プロセスにおけるQMS(Quality Management System)の位置づけを明確にしました。産業化はアイデアから体験を創造することであり、「アイデア→研究→商品化→事業化→産業化→体験」という開発プロセスを文書化して記録することがQMSの役割だといいます。また、法律やルールに則って開発されたことを証明するためにも、QMSは欠かせないものだと説明がありました。
さらに、医療機器の産業化のルールとして「医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令(厚生労働省令第百六十九号)」などを紹介。品質問題が起こる原因や背景、企業理念の大切さなどに触れ、医療機器に不良品は許されず、設計開発段階で不良品が発生しないようにしておくことが大切だといったクオリティコントロールの考え方が説かれました。
続いて、QMSの具体的な手法が紹介されました。各国の医療機器規則や省令、医療機器の品質管理システム構築のための国際標準企画(ISO13485)の構成などを例に挙げ、QSIT(品質システム査察の手法)や製品のライフサイクルマネジメント、要求がどのように設計に盛り込まれたかを記録するトレーサビリティマトリクスの必要性が語られました。
最後に、QMSに頻出する「バリデーション(妥当性確認)」「ベリフィケーション(検証)」「クオリフィケーション(適格性確認)」「是正処置・予防処置」といった用語の解説があり、リスクマネジメントにおける経営者の責任やリスク算定の方法、リスク低減のために必要な3ステップメソッドについて説明されました。