講師

株式会社INOPASE 代表取締役CEO
東京大学医学部附属病院 AMED医療機器開発サポート事業メンバー
杉本宗優氏

2023年4月のメドテックサロンでは、株式会社INOPASE 代表取締役CEO、東京大学医学部附属病院 AMED医療機器開発サポート事業メンバーの杉本宗優が、オンラインにて講演を行いました。

講義テーマは「アーリー医療機器ベンチャーのケーススタディ~AMED事業からシード資金調達まで~」です。
「自己・会社紹介」「杉本式アーリー医療機器開発の過ごし方」「意見交換・ディスカッション」という流れでお話しました。

まずは「自己・会社紹介」です。杉本は、製薬会社や医療経営コンサルティング会社での経験から、医療機器に興味を持ち、2019年に『ジャパンバイオデザインフェローシッププログラム』に参加しました。その後もバイオデザインの仕事を続けたいとの思いで、2020年には『AMED医療機器開発サポート事業』に参加、2021年にベンチャー企業を立ち上げ、植込み型神経刺激装置の開発に取り組んでいます。

次に「杉本式アーリー医療機器開発の過ごし方」として、これまでの経験をもとに、医療機器開発を進めていく上で重要だと感じたポイントを共有しました。

・技術より、ビジネスを良く見せることに意識を向ける

投資家や企業が、ベンチャー企業を評価する際に重視しているのは「開発している製品が事業としてどのくらいモノになるのか」という点です。技術について深く知ることには時間をかけず、「しっかりと売り上げが立つのか、投資に対するリターンがちゃんと来るのか」という点を重視しながら、浅く広く、たくさんのベンチャー企業を見ています。その中で、ビジネスとして魅力的な製品であると評価してもらうために、どのような情報を提供して、どうコミュニケーションを取っていくのかを意識しておくと良いでしょう。

・動物実験は確実に出来ることから少しずつ、難しいことは後回し

医療機器の開発においては、有効性を確認するために実験を行うことがあります。しかし、しっかりと準備をしておいても良い結果が得られず、何度も実験を繰り返したり、データが取れなかったりすることも多いです。小さくても成果を感じることのできるデータを持つことは、投資家や企業が、製品や事業への信頼を高めることにも繋がります。まずは、限られた時間の中でも確実に成果の見える実験を行い、そこから少しずつ前進させていくことが大切です。

・PMDA相談は積極的に実施する

RS戦略相談を含めPMDAへ相談する場合には、相談内容をまとめるために、開発経緯を振り返ったり、開発費の概要に関する資料を作ったりと、たいへん骨の折れる作業が必要です。しかし、その過程で自分の考えを深めることができ、さらに、事業に対するプロからのアドバイスも貰えます。かなりの労力を要しますが、医療機器開発を進めていく上で利用しない手はありません。

最後に、「意見交換・ディスカッション」として、参加者と意見を交わす時間を設けました。
杉本が開発に取り組んでいる医療機器の今後のスケジュールや目指すゴールについて、投資家や企業目線での考え方を共有したり、様々な肩書を持つ多忙なメンバーが1つのチームとして開発を進める際、各メンバーがどのくらいの時間を割いて開発に携わっているのか、具体例を出しながら話したり、有意義な意見交換の場となりました。

ご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました。