講師
前田 祐二郎
東京大学医学部附属病院 特任助教
ジャパンバイオデザイン共同ディレクター
ワークショップの目的
多くの大学発医療テクノロジーベンチャーを産み出している「バイオデザイン」のプロセスを理解する。また、ケース事例を活用して臨床現場のニーズを明確化し、医療機器開発や事業化につなげるプロセスを学ぶ。
ワークショップの内容
本ワークショップは、医療機器開発におけるニーズの見つけ方やスクリーニングに焦点を当て、講義パートと3つのグループワークパートを交えて進められました。
最初に、医療現場におけるニーズの見つけ方、シーズを生み出すためのクリエイティビティ、その後の開発戦略やマネジメントなど、バイオデザインによる医療機器開発のプロセスについての概説がありました。また、エンジニアや研究者が医療現場で観察を行うことの重要性が語られ、観察時の着目点・注意点について説明されました。
グループワーク1では、人工呼吸器関連肺炎(VAP)をケースに、ニーズステートメントを作成。「誰がどんなことで困っているか、その問題を解決すると何が起きるか」を明確にしていきます。参加者はグループに分かれて、VAPを解決するための医療機器についてディスカッション。各グループごとに複数のニーズステートメントを作成しました。
続いての講義では、ニーズの分類やスコーピングなど、ニーズをブラッシュアップするための手法について解説されました。ニーズは、革新的な新技術が必要な「Blue-sky」、既存技術の改良などで解決できる「Incrementall」、その中間に位置する「Mixed」に分類でき、市場分析や研究戦略などに合わせてニーズの位置づけを考えることが重要だといいます。それを踏まえ、グループワーク2ではファシリテーターの指導により、グループワーク1で作成したニーズステートメントをスコープアップ(ブルースカイ化)、スコープダウン(インクリメンタル化)する手法を学びました。
さらにニーズのスクリーニング基準やスコアリング方法についてケーススタディを交えた講義へと続き、グループワーク3では、絞り込んだニーズを「有効性」「安全性」「コスト」「ユーザービリティ」の4項目から検証。後のコンセプト検討の際の基準となるニーズクライテリアを設定しました。最後にマーケティングに関する補足説明があり、ワークショップが締めくくられました。