講師

東京大学大学院工学系研究科
バイオエンジニアリング専攻 教授
ジュリクル株式会社 最高科学責任者
酒井 崇匡

医用ゲル材料研究室にて、高分子ゲルの学理解明とゲルの医用応用を目指す

講義の内容

2021年2月のメドテックサロンでは、講師として東京大学大学院工学系研究科バイオエンジニアリング専攻、ジェリクル株式会社最高科学責任者の酒井崇匡先生をお招きして、オンラインにて講演を開催致しました。

酒井先生は現在、鄭雄一先生と共に、医用ゲル材料研究室にて高分子ゲルの学理解明とゲルの医用応用を目指して研究開発を進めていらっしゃいます。

今回の講演では、「高分子ゲルの基礎物性の理解を基盤とした医療材料開発~より良いバイオマテリアル研究、バイオマテリアル開発を目指して~」というテーマでお話しいただきました。

ゲルというのは、ほぼ水にもかかわらず個体になる、酒井先生曰く「変な物質」で、ネットワークの構造を制御するのがとても大切です。ゲルは構造が不均一なため制御性・予測性が低いようで、2008年から均一性の高いゲルを作るという研究をされています。力学特性や、ゲルがどのように動いているかを数式的に記述可能となり、ゲルの物性理解の現状を話されました。

酒井先生の研究の転帰になったのは、膨らまないゲルという価値の発明、開発でした。実用性を考えると、ゲルの膨潤が問題ということに気づき、それをいかに制御するかという基礎研究をこれまでされてきました。

続いて人工硝子体の研究を始めたきっかけや研究内容、目の中でゲルを生成させた場合の課題についても言及いただきました。

ゲルを「いかに溶かすか」「いかに固めるか」、さらにそれを「いかに精密にできるか」が重要で、臨床の先生とタッグを組んで、長期で使えるもの開発する重要性をお教えいただきました。研究と現場のコミュニケーションが大切だという想いも伝えていただきました。

最後に設けていただいた質問コーナーでは、「大学と会社で行う研究開発項目は、どのように振り分けているか」「周辺特許はどのくらいおさえているか」「ゲルの素材のコンセプトは」などの質問があり、丁寧に分かりやすく回答いただきました。

酒井先生、ご講演ありがとうございました。

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